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《 YAMATO SOUND ALMANAC 1978-IV 不滅の宇宙戦艦ヤマト ニュー・ディスコ・アレンジ 》

 アルバムレビュー

 オリジナルは1978年にポリドールより発売。「ヤマト」の音楽のほとんどは日本コロムビアより発売されているため、「ディスコ・アレンジ」というスタイルから見ても異色の存在のアルバム。手掛けたのは西崎義展プロデューサーと音楽担当の宮川泰氏で、当時のディスコブームに乗って作られた逸品。30数余年の年月を経てこの度、日本コロムビアより「YAMATO SOUND ALMANAC」シリーズの一環として初CD化、発売された。

 収録楽曲は、『PART 1』〜『さらば宇宙戦艦ヤマト』までの音楽をディスコ・アレンジしたもので、一部が『2』の劇中でBGMとして使用された(テレザート星爆発の回など)。劇中使用されたという点では、後年作られたアレンジ・アルバムと比べると画期的且つかなりの力の入ったアルバムと言える。

 私は、このアルバムの存在を大人になってから知った。大人になるまでこのようなアルバムの情報に触れる機会がなく(今のようにインターネットが無い時代だったため)、知ってからも「ヤマト」の音楽とディスコ・サウンドがイメージとして結びつかず、本当にそのようなアルバムがあるのだろうかと疑っていたのも事実。作品の『2』は、小学生の頃に再放送等で繰り返し見ていたが、そういう音楽については記憶になく(何しろ子供の記憶力だし)、大人になってから改めて鑑賞して確かに使われていることに気づき、驚きと戸惑いに包まれた。そしてインターネットで全曲を聴く機会があり、その時にようやく自分の中でこのアルバムの存在を受け入れたという次第。

 何と言っても元々が劇中使用のために作られている音楽なので、それをディスコ・アレンジするという試み自体が何とも奇妙な心持ちであるのだけど、作品と切り離して音楽だけを考えてみた場合に確かに音楽は自由な立場であるかも知れないので、考えようによってはこういったアレンジもあり得るのかも知れない。だけど、そういう音楽が巡り巡って戻って来て劇中で使用されるとなると、それはちょっとミスマッチなのでは…と感じるわけで、はたして実際に使われたシーンを見てみると、やはり「ヤマト」らしからぬ音楽の使い方だなぁ…というのが私の感じる正直な感想。しかし、こういった試みを経て劇中音楽が確立されていくのであろうから、これはこれで「ヤマト」の歴史の中で貴重な過程であったように思う。

 ということで、作品と結びつけるとどうにもそぐわぬ感のあるサウンドであるのだけれども、切り離して純粋に音楽を楽しむという点では、なかなかに巧みなアレンジが堪能できるアルバムとなっている。大きな特徴は、曲のイメージをほぼそのまま活かしたアレンジとなっている点で、こういったコンセプトのアルバムでは時として大胆に曲を解体してアレンジするということがままあるが、そういった複雑な構成がないため、まっすぐにディスコ・アレンジを楽しめるサウンドとなっている。また、宮川泰氏はポップス界の巨匠として長年培って来たキャリアがあるので、ディスコ・アレンジといえども、こういうポップスなノリは十八番とするところ。楽曲によってはアレンジに苦労された曲もおありのようだが、ノリの良いアレンジとバラードとがバランスよく配置されているまさに逸品と言えるアルバム。

 (1)宇宙戦艦ヤマト メインテーマ

 当時のブームに乗って誕生した”ディスコ・アレンジ”のアルバム。この曲は、A面1曲目の「宇宙戦艦ヤマト」メイン・テーマ。

 「メイン・テーマ」のアレンジは、組曲を始めBGMなどで細かなアレンジを耳にし、その度にオリジナルの持つメロディーの強さと素晴らしさとに感銘と感動を受けているが、このような企画アルバムのためのアレンジでもディスコのノリとリズムに飲み込まれずにしっかりと元のメロディーの強さといったものを表面に打ち出している。

 (2)白色彗星

 オリジナルは、パイプオルガンの重厚に重なり合う響きと音色が生きている名曲。第1音を聞くなり「白色彗星」であるとすぐに分かる重みのある素晴らしい楽曲がなんとディスコ・アレンジに。

 出だしこそオリジナルの重さを保った低音で始まるものの、およそ30秒後には急転してディスコ特有の軽いリズムで、あの「白色彗星」のメロディーが展開される。打楽器の軽いリズムとキーボードの奏でる重いメロディーが、なんとも微妙なところでバランスを保っている、素晴らしきアレンジの巧み。

 (3)真赤なスカーフ

 サビのメロディーをトランペットが高らかに奏でて始まる、「1」のエンディングテーマのディスコアレンジ。

 オリジナルのメロディー自体が当時のアニメソングらしからぬというか、ポップスの巨匠である宮川泰氏の本領発揮とばかりの大人のムードの漂う歌謡曲のような楽曲であるので、ディスコアレンジとなってもイメージに大きな違和感を覚えないところが流石。

 中盤、軽快なテンポの箇所があるものの、メロディーを奏でている主役のトランペットがこの曲の持つ哀愁さをしっかりとフォローしている。

 (4)イスカンダル

 美しいメロディーが大変印象的な「イスカンダル」のディスコ・アレンジ。

 オリジナルのメロディーが爽やかで明るい惑星イスカンダルのイメージを表現しているので、ディスコ・アレンジとなっても明るいイメージはそのまま。というか、爽やかで明るいイメージに軽さまでプラスされているような雰囲気。

 (5)テレサのためいき

 「2」で登場したテレサの「テレサ愛のテーマ」をメインに、間に「テレサよ永遠に」のテーマをミックスしたディスコ・アレンジ。

 テレビシリーズの「2」で登場したテレサは、劇場版よりも人間に近い存在として描かれていたためか、女神というよりも孤独感に包まれた女性というイメージがあった。島大介と恋仲となるも、テレザートから離れることができず、テレサは別れを選ぶ。美しい容姿の持ち主ではあったが、笑顔よりも憂いある悲しみの表情の多い女性であった。

 このディスコ・アレンジでも、そのテレサの憂いある表情が表現されている。物憂げなベースの音色がゆったりとしたダンスサウンドのリズムとなり、優しい大人の雰囲気の曲となっている。

 (6)想人(おもいびと)

 美しくも物悲しい切ない名曲「想人」のディスコ・アレンジ。

 こう真っ向からディスコ・アレンジとなったんでは、何も言い様がない…というのが、私の心情。

 さて、ダンス・リズムに乗った「想人」は、オリジナルの面影はメロディーラインのみに残し、軽やかでダンサブルな楽曲へとお色直しがなされている。前半は、小気味のいいギターがメイン楽器となって奏で、後半はそれにバイオリンが被さっている。こういう明るめの雰囲気も数ある「想人」のアレンジの中にある。

 (7)アンドロメダ

 「さらば」と「2」で登場した地球の新鋭艦アンドロメダのテーマのディスコ・アレンジ。オリジナルのメロディーの明るさをそのまま引き継ぎ、ダンサブルなリズムを前面に押し出した軽快なディスコサウンドとなっている。

 アンドロメダは、地球復興のシンボルとなる艦で、地球人類の明るい希望を形にしたような艦。そのため、テーマもヤマトとは対称的な明るさが特長。ディスコのリズムが最も似合うアレンジとなっている。

 (8)襲撃のテーマ

 デスラーのテーマの中でも最も有名な「襲撃のテーマ」のディスコ・アレンジ。

 この「襲撃のテーマ」のオリジナルは、文字通りデスラーの戦いを表現している曲で、戦いの中に美学を見出すデスラーの人となりをかくも美しいメロディーにて奏でている名曲。オリジナルでは、高音から低音までのストリングスと管楽器が、容赦なく襲いかかるデスラーの強さを表現している。

 オリジナルのテンポが速いため、ディスコ・アレンジとなっても楽曲の印象は変わらぬまま。むしろ、新たな側面を引き出しており、宮川先生のメロディーに対するこだわりとアレンジ力の高さが感じられる聴き応えのある一曲となっている。

 (9)好敵手

 この曲は、デスラーと古代の奇妙な友情がテーマとなっている曲。だが、このディスコ・アレンジを聞くと、そういった曲本来のテーマとは別に宮川泰氏の作り出したメロディーの豊かさを存分に感じることの出来るダンサブルな曲に仕上がっている。

 ノリのいい歌謡曲のディスコ・アレンジといった雰囲気感じられ、ノリのいいドラムのリズムに、陽気なパーカッションの響きに、渋く刻むベースが曲全体を盛り上げている。

 オリジナルは、歌を聞かせる重みのあるメロディーだが、それとは対称的な軽快で明るいアレンジ。

 (10)デスラーのテーマ

 「デスラー 孤独」のメロディーのディスコ・アレンジ。リズムを刻むドラムとベースギターの音が前面に出ているため、多少弾けた感じのリズミカルな楽曲となっているが、曲自体の持つ渋さはそのまま。ベースギターが殊の外効いている。

 「デスラー 孤独」は、デスラーの内面を表現した名曲であるが、オリジナルの重々しいイメージを損なうことなく、楽器の音色を活かしているアレンジが見事。

 (11)雪の最期

 ストリングスとギターとベースギターがメインとなって奏でているディスコ・アレンジ版の「雪の最期」。

 とはいえ、ディスコ・アレンジという説明がなければ普通の演奏と同じに聞けてしまうほど、大人しいアレンジとなっている。チークタイムを意識したアレンジなのかも知れないが、オリジナルのメロディーに物悲しさが含まれているので、この曲でチークタイムを踊ったとして果たしてカップルの…いや時代を意識した表現でアベックの気分が盛り上がるかどうかは微妙なところ。

 ラストのギターのフレーズが泣かせる。

 (12)大いなる愛

 劇場作品「さらば」から生まれた永遠の名曲「大いなる愛」のディスコ・アレンジ。

 ディスコ・アレンジだけにドラムとベースの音が前面に出ているものの、意外と真っすぐにメロディーが鳴っていて好印象のアレンジ。ラスト部分は、明るいイメージとなるようにか加速度的に盛り上がって終わっているが、全体的にはオリジナルの愁いさが漂っているところがよいところかと。
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