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《 交響曲ヤマト2009 》

 アルバムレビュー

 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』劇場公開にあたり、オリジナル・サウンドトラックと共にリリースされた、新演奏・新録音による「交響曲ヤマト」のアルバム。作曲は、故・羽田健太郎氏。羽田氏は、前作の『完結編』で作曲に参加され、それ以前からもピアノ・ソロの奏者として長く「ヤマト」の音楽と関わってきた大変縁の深い方で、『完結編』上映の翌年、1984年にこの「交響曲ヤマト」をNHK交響楽団の演奏にて初演。当時の指揮は、今回と同じく大友直人氏。その羽田氏と親交の深かった大友氏の音楽監督のもと、「交響曲ヤマト」が25年振りに蘇った。

 同封のブックレットには、羽田氏の解説と大友氏によるテキストが掲載されており、羽田氏の解説は丁寧で分かりやすく、読むことにより「交響曲ヤマト」の鑑賞の奥行きが更に深まる内容となっているし、大友氏のテキストは羽田氏に対する温かい友情が感じられる内容となっている。

 この「交響曲ヤマト」は、年月を経るごとにその存在の意義が深みと共に増す曲となっていて、羽田氏が唯一遺したシンフォニーであるということ、「宇宙戦艦ヤマト」の作品全体を総括したシンフォニーとなっているということ、それにより作品とは別の視点から「音楽」のみで「ヤマト」の世界観とドラマを感じ取ることができ、聞く人それぞれに無限に「ヤマト」のイメージの広がりの可能性を持つことができ、これまでに音楽に重点を置いてきた「ヤマト」にとって貴重かつ重みのある交響曲となっているのは確か。

 私は、初演のものは、LPレコードで所有しており、我が家では現在は聞くことのできる環境が整っていないために気軽に聞くことができない点が残念だった。そのことを考えると、今回の「交響曲ヤマト2009」のCDアルバムのリリースはありがたく感じるのと、これも不可能と思えた『復活篇』の公開が実現のものとなったからこそであり、新演奏そして新録音された点についてもこのうえない機会であったのでは…と感じるしだい。

 クラシックについて何の知識も持たない私には楽曲や演奏について何ら書き記すことはできないけれども、故・宮川泰氏が作り出した「ヤマト」の主題が、交響曲というスタイルとなってもオリジナルのメロディーの美しさに変わりのないことが心から嬉しく思う。そして、「ヤマト」のドラマと世界観が表現されているこの「交響曲ヤマト」が、将来、他のクラシック曲と同様に多くの楽団で演奏され、CDリリースされる日が訪れることを心から望むばかり。「ヤマト」音楽の輪が広がってゆくこと…それが音楽の素晴らしさであると信じて。

 (1)第一楽章 誕生

 羽田健太郎氏が唯一遺したシンフォニー「交響曲ヤマト」。初演は1984年NHK交響楽団にて。25年の歳月を経て2009年、初演時と同じ大友直人氏の指揮により日本フィルハーモニー交響楽団の演奏にて新たな録音が完成。

 クラシックはもとより楽曲の仕組みなどまるで知らない私には、いくら「ヤマト」の音楽といえどもこのように本格的な交響曲について何かを語ろうというのは身の程知らずにも程があるが、『復活篇』を機に新録音の機会を得たこの「交響曲ヤマト2009」についてほんの少しでも私なりに語っておこうと思うしだい。何しろ初演盤はLPで所有しているため現在聞くことができず、今回の新録音のおかげでやっとCDで聞くことができたのだから。

 序盤のゆったりと静かな演奏に続いて「ヤマト」のテーマが弱→強へと段階的に上がっていき、一息ついたところで「イスカンダル」のテーマがヤマトを包み込むように優しく始まり、再び一息ついたところで「ヤマト」のテーマが様々な表現を交えながら力強さを備えた演奏で奏でられ、ところどころに「イスカンダル」のテーマが柔らかな表情で演奏され、全体で「ヤマト」の持つ剛と柔がバランスよく奏でられている第一楽章。

 「誕生」は、「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」に於いて重厚なストリングスによる「イスカンダル」のテーマが冒頭で奏でられ、引き続き重厚なストリングスの演奏のまま「ヤマト」のテーマが奏でられ、ブリッジを経て満を持して「ヤマト」のテーマが堂々と奏でられている。

 「ヤマト」のテーマと「イスカンダル」のテーマ。この二つのテーマの掛け合いが、「ヤマト」音楽のストレートな印象付けとなっている。

 (2)第二楽章 闘い -スケルツォ-

 地球を飛び立ったヤマトの行く手に現れる敵との闘いを表現している第二楽章。ヤマトの航海は、苦難の道のりの連続で、敵との闘いを一つ一つ乗り越えて地球の平和を取り戻すために戦い続けた。

 闘いの激しさを表現するかのようなイントロに続き、『完結編』の「神殿部の斗い」と「コスモタイガー」のテーマが絡み合い、掛け合うように鳴り響き、その間を縫うように「ウルクの歴史」のメロディーが流れ込み、激化する戦闘を表現。

 中間部では、戦いの合間の束の間の休息といった昂った魂の静まりを表現した安らぎの音楽が奏でられ、そして再び闘いの音楽へ。綺麗に流れるストリングスの演奏の中、金管楽器が砲撃戦を表しているかのように響く美しい楽章。

 (3)第三楽章 祈り -アダージョ-

 緩やかに穏やかに始まる第三楽章の主たるテーマは「無限に広がる大宇宙」。「無限に〜」のメロディーを挟み込みながら心が改まる思いの美しい旋律が奏でられている。

 平和への祈り。美しき自然に対する祈り。愛することへの祈り。慈しみの祈り。戦いのない平和を願う人間の内なる悲しみや葛藤といった心情などが描かれ、緩やかに次第に音が高まり盛り上がったところで、一呼吸の後、スキャットが神の声の如く降りてくる。深く心に染み入る「無限に〜」のメロディーとスキャットのためにあるかのような楽章。

 スキャットは、小林沙羅さん。厚みと深みのある声で導いている。

 (4)第四楽章 明日への希望 -ドッペルコンチェルト-

 力強いタッチで始まる第四楽章は、交響曲の締めくくりとなる楽章。ブラスとストリングスの響きが段階的に掛け合うように主題を奏で、そこへ入り込むピアノの音色が力強くも愛の厳しさを表現しているかのよう。

 愛とは何か──の問いに答えるように「大いなる愛」のテーマが全体を包み込むように優しく奏でられ、「ヤマト」の作品が指し示してきた愛の姿が表現されたところで、再び力強いタッチのピアノとヴァイオリンが入り込み、愛によって生じる悲しみや辛さが奏でられ、愛とは甘美なことばかりではないという想いが切々と奏でられている。

 そして、すべての悩みと迷いが吹っ切れたように高らかに「大いなる愛」のテーマが奏でられ、愛と平和のために戦い続けたヤマトの主題が重厚に気高く奏でられ、幕を閉じる──。

 第四楽章の終盤部は、『復活篇』の最後の戦いのシーンを盛り上げた。本編で使用されたのは初演時のものらしいが、当アルバムの演奏も美しく迫力があり、切々とした想いは伝わってくる。感動の締めくくりの最終楽章。
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