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《 宇宙戦艦ヤマト 復活篇 オリジナル・サウンドトラック 》

 アルバムレビュー

 2009年12月12日、劇場用作品として文字通りスクリーンに復活した『宇宙戦艦ヤマト/復活篇』のオリジナル・サウンドトラック・アルバム。『復活篇』の音楽は、この他に羽田健太郎氏が作曲し1984年に初演した「交響曲ヤマト」を大友直人氏監督・指揮のもと新録音した「交響曲ヤマト2009」をリリースしている。

 「宇宙戦艦ヤマト」の音楽は、作曲家の宮川泰氏とプロデューサーの西赴`展氏が、一作目から作品ごとに心血を注いで築き上げ、「ヤマト」独自の音楽として常に素晴らしい旋律を響かせてきた歩みと重みがある。時に作品よりも先に「音楽集」をリリースし、映像に付けた音楽としてではなく、作品とそれに伴う映像のイメージを先行して音楽で伝えるなど、「ヤマト」に於いての音楽の役割は非情に大きく、ファンもまた「ヤマト」の映像を見るのと同じくらい、時にはそれ以上の期待を持って音楽と接するのをいつも楽しみにしていた。それほど重要な「ヤマト」の音楽を全作に渡って作曲した宮川泰氏が2006年3月21日に亡くなられ、翌年の6月2日には羽田健太郎氏、同年8月1日には作詞家の阿久悠氏が相次いで亡くなられ、「ヤマト」の音楽を作り上げて来た音楽家たちがこの世を去られたことで、「ヤマト」の新作映画となる『復活篇』の制作は実現が困難なのではないかと思われた。

 しかし、音楽担当に羽田健太郎氏とかつて親交があり「交響曲ヤマト」の初演で指揮された大友直人氏が正式参加となったことで、『完結編』よりもさらにクラシック寄りの音楽になるであろうというおおよその音楽のイメージが掴めたことで、『復活篇』の音楽に対する大きな不安は薄らいだが、オフィシャルサイトオープン後も具体的な音楽の話題はなく、主題歌についても正式な発表がないまま時が過ぎ、劇場公開日が迫りつつあった2009年の10月にようやくサントラ・リリースの報せが入り、そのリリース日が「交響曲ヤマト2009」が劇場公開3日前、「サントラ」に至っては発売延期を経て公開初日から4日後という、ともかくも”作品ありき”というスタイルでようやくファンのもとへと『復活篇』の音楽が届く形となった。

 音楽を先に聞いてイメージを膨らませたいと願っていた自分ではあったが、手元に届いたサントラをいざ聞いてみると、「あ。なるほど」と一目瞭然ならぬ一聴瞭然した。従来のようなイメージを喚起するような音楽ではなく、シーンに合わせたテーマを収録しているため、これは事前にサントラを聞いても正確なイメージが掴めなかったであろうと納得した。過去の作品からのテーマの流用然り、ましてや今回はクラシックを多用しているため音楽から受けるイメージに統一感がないため、これでは『復活篇』の内容のイメージが掴みにくいのは当然であり、劇場公開前ではなく封切り後のリリースが妥当であったと思うしだい。それゆえ、このアルバムは、あくまでも「サントラ」というスタンス。従来の「音楽集」とは全く異なる性格のアルバムとなっている。

 アルバムの構成を大きく分けるとすると3つに分けることができるように思う。ヤマト・オリジナルスコアとクラシックと他。ヤマト・オリジナルスコアは、過去の作品からのテーマの流用。「ヤマト」の宇宙を代表する名曲中の名曲である(1)「無限に広がる大宇宙」を始め、「新たなる旅立ちのテーマ」、「別離」、「ヤマト葬送のテーマ」、「脅威のニュートリノビーム」というかつて作品を盛り上げたテーマたちが今回映画用にトラックダウンされ『復活篇』を盛り上げている。新録音は、(6)「宇宙戦艦ヤマト2009」と(7)「新コスモタイガー2009」。(6)「宇宙戦艦ヤマト2009」は、アクエリアスの氷塊からの発進時に劇中で流れたTHE ALFEEの歌う「宇宙戦艦ヤマト」。オーケストラアレンジとロックバージョンの「宇宙戦艦ヤマト」が絡み合っている楽曲。(7)「新コスモタイガー2009」は、新たにお披露目となった艦載機コスモパルサーのテーマ。オリジナルの躍動感あるドラムとベースのリズムが、オーケストラアレンジにより繊細さと華麗さを備えた楽曲へと化粧直しが施された。楽曲後半部には、山下康介氏作曲の「戦闘のテーマ」がボーナストラックとして収録されている。

 アルバムの2本目の柱となるクラシックは、マーラー交響曲第2番「復活第一楽章」、チャイコフスキー「スラヴ行進曲」、ベートーヴェン「エグモント序曲」、ショパン「ノクターン#1」、ベートーヴェン「月光」、グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」といった有名どころがラインナップ。どれもが印象に残る曲ばかりであるけれども、中でもSUS大要塞のテーマとなったグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」は、監督の西赴`展氏が企画当初から決めていた曲というだけあってインパクト十分。アルバム後半部の(9)〜(13)は、大友直人氏の本領発揮とばかりクラシックの演奏を篤と聞くことができる内容。

 ヤマト・オリジナルスコアでもなくクラシックでもないその他の楽曲が、終盤の3曲。(15)「メッツラー」は、山下康介氏作曲のオリジナル曲。異次元生命体として登場するメッツラーの存在感を表現している。ラスト(16)「この愛を捧げて」は、サントラのためのスペシャルメドレーとなっていて、山下康介氏アレンジによるインストゥルメンタル・バージョンとTHE ALFEEの歌うオリジナル・ショートバージョンがしっとりとアルバムを締めくくっている。

 そして、真打ちがこの曲。このサントラの縁の下の力持ち的な存在として陰ながらしっかりと支え、且つ『復活篇』そのものの象徴として輝きを放っている(14)「「復活篇」のためのシンフォニー」。ビデオ作品「我が心の不滅の艦」で羽田健太郎氏が作曲した曲で、ヤマト音楽としての遺作。収録にあたり、山下康介氏がアレンジを担っている。この曲は、宮川泰氏が紡いだ数々のヤマト音楽の空気、流れ、情といったものを羽田氏の感性により総合的な曲として表現されており、冒頭の泣きを感じるギターのフレーズを耳にするだけで胸が熱くなるほど。心に染み入る切なさが表現されており、郷愁さも持ち合わせている。『復活篇』の礎とも言える大切な一曲。

 (1)無限に広がる大宇宙/「交響組曲宇宙戦艦ヤマト」序曲

 作・編曲:宮川泰

 『復活篇』サントラの第1曲目は、「ヤマト」のシリーズ全体を包括するこのメロディー。「無限に広がる大宇宙」。

 何はなくとも、何はともあれ、川島和子さんの透明感のある柔らかくて深みのあるこのスキャットがなくては「ヤマト」は、始まらない。「ヤマト」といえばこのスキャットが思い浮かぶ人が多いだろうし、このメロディーを聞くと即「ヤマト」を思い浮かべる人も多いだろうし、引いては夜空を見上げ、星を眺め、宇宙に思いを巡らせる場面でさえこのスキャットとメロディーはピッタリと当てはまる。この曲は、「ヤマト」=(イコール)「宇宙」のイメージを直結している至高の名曲。

 2009年6月。手元に届いた『復活篇』のプロモーションDVDを期待と不安が入り混じった複雑な心境でプレーヤーにに挿入し、最初の真っ暗な画面の中に「無限に広がる大宇宙」のスキャットが聞こえてきた時には「まちがいなくヤマトだ!」と心から嬉しく思った。この曲のメロディーが担っている部分は大きく、長年の沈黙を経て蘇った「ヤマト」そのものの存在と、デザインが変わったところや変わらないところ、作り手の思い、ファンの思いといったもの全てが一つの方向へ向けてまとまる。そんな力を持っている。

 ヤマトの姿とこのスキャットを聞くだけで、宇宙戦艦ヤマトの世界観がみんなの胸に広がっていく。そこから始まる「ヤマト」のストーリー。この曲がなくては「ヤマト」のストーリーの幕は上がらない。音楽の力はかくも偉大だ。

 (2)カスケードブラックホール/マーラー交響曲第2番「復活第一楽章」

 作曲:マーラー

 緊張感のある低い弦の音色から始まるマーラーの交響曲第2番「復活」第一楽章。この曲が、脅威の存在カスケードブラックホールのテーマ。

 移動性ブラックホールは、宇宙の彼方より現われ、刻々と地球に接近。地球はやがてカスケードブラックホールに飲み込まれるという危機に直面する。人類は、惑星アマールへの避難を始めるも第1次、第2次避難船団は謎の敵に襲われ壊滅。第1次避難船団の団長、古代雪は消息不明となる。カスケードブラックホールの進行と謎の敵の攻撃。地球は、二つの脅威に晒され、厳しい現実に直面する。

 漆黒の宇宙空間に赤黒く巨大な渦を描きながら突き進むカスケードブラックホールの禍々しい姿を、妖しくも美しい楽曲が盛り上げている。段階的に徐々にスケールが広がっていく旋律が実にドラマチック。

 (3)古代の帰還「別離」「別離09」/宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち・「別離」

作・編曲:宮川泰

 『復活篇』での古代進と雪のテーマ。古代進の妻、雪は、第1次移民船団の団長としてアマールへ向かう途中、謎の艦隊の攻撃を受け、雪が乗艦していた艦は、無人のままワープしてアマールへ到着し行方不明となる。古代は、雪が第1次移民船団の団長であったことを知らぬまま地球へ帰還。真田志郎より初めて事実を聞かされる。古代はアマールで雪が乗艦していた艦より「古代雪」の刺繍の入った帽子を手にし、必ず見つけに行くと改めて心に誓う。

 「別離」は、プロモーションDVDの段階で使用されていたため、この曲の持つ悲しみを含んだイメージが『復活篇』のヤマトの発進のイメージなのだろう…ということは、おおよそ感じていた。これまでの作品で愛を育んで来た古代進と雪の生死すらも分からない別離は、実は途方もない悲劇。古代の心の中に澱む深い悲しみを、名曲「別離」が、切々と表現している。この曲の憂いのあるメロディーは、宮川泰氏ならでは。

 1979年録音の音源から映画用にトラックダウンしたものに、ストリングス・パートを追加。後半がそのストリングス・パート部分。低音のストリングスで奏でられたパートあり、若干高音のストリングスで奏でられたパートがありと、BGM集のように幾つものバージョンの「別離」が収められている。

 (4)若者たち/宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ちBGM

作・編曲:宮川泰

 「新たなる旅立ちBGM集」(2)曲目に収録となっている「新たなる旅立ち(インストルメンタル)」を、1979年の音源から映画用にトラックダウンしたもの。

 『新たなる旅立ち』のヤマトは、白色彗星帝国との戦いでボロボロに傷ついたヤマトを修復し、テスト航海を目的として地球を発つストーリー。『復活篇』のヤマトは、アクエリアスの海に沈んだヤマトをサルベージし、移民船団の護衛として発つストーリー。どちらも激しい傷を負ったヤマトが再び命を得て地球を発つという点が共通しており、文字通り「新たなる旅立ち」の意味合いを持っている。

 ストリングスをベースとした「新たなる旅立ち」のインストゥルメンタルは、ややゆっくりめのテンポでメロディーを奏でているため、シーンをじっくりと見せる効果を担っている。『復活篇』では、若々しい新乗組員の登場、6基の炉心を備えた波動エンジンの紹介シーンで流れた。発進前の慌ただしさが、楽曲のテンポによりじっくりと見ることのできるシーンとなっている。

 (5)氷塊に眠る/宇宙戦艦ヤマト完結編「ヤマト葬送のテーマ」

作・編曲:宮川泰

 アルバム「ファイナルのための序曲」に収録の「ヤマト・メモリアル」のラスト部分を、1983年の音源から映画用にトラックダウンしたもの。

 「ヤマト・メモリアル」は、音楽でヤマトの歴史を振り返っているもので、「無限に広がる大宇宙」のスキャットに始まり、暗黒星団帝国、白色彗星帝国へと遡り、再び「無限に広がる大宇宙」のスキャットで一旦締めくくられ、その後「ヤマト葬送のテーマ」がしめやかに始まり、第二次世界大戦で沈んだ大和を偲び、そして今ふたたび還ることのできる保証もないままに水没の危機に瀕した地球を救うために出撃するヤマトを偲ぶ構成となっている楽曲。

 『復活篇』での回想シーンにふさわしい重みのある曲で、水の惑星アクエリアス、沖田艦長、自沈したヤマトの堂々たる最期の映像などが走馬灯のごとく蘇り、深くゆったりとした悲しみをたたえている厳かな曲。男性コーラスの重々しくも美しい響きが、ヤマトの悲愴なる旅立ちを彩っている。

 (6)ヤマト発進 発進準備 宇宙戦艦ヤマト2009(Short Version & Symphonic Version)

 「発進準備」、「宇宙戦艦ヤマト2009 Short Version」、「宇宙戦艦ヤマト2009 Symphonic Version」の3つのパートから成り立っている楽曲。

 「発進準備」は、「交響組曲宇宙戦艦ヤマト」の「誕生」の新録音バージョン。作曲は、宮川泰氏。編曲は、山下康介氏。「宇宙戦艦ヤマト」のテーマを、新たなオーケストラアレンジにて奏でているが、演奏のバランス自体は、アルバムの中ではきちんと取られているものの、オリジナルと比べるとやや盛り上がりが弱い感じ。およそ2分間の演奏。

 続く「宇宙戦艦ヤマト2009 Short Version」は、THE ALFEEの歌う「宇宙戦艦ヤマト」のショート・バージョン。繋ぎのほんの数秒の「ダダダダ…」という打楽器の音の後にロック・アレンジの「宇宙戦艦ヤマト2009」が始まり、THE ALFEEのボーカルの桜井賢氏の力強い歌声が響く。歌は、1番のみ。およそ1分25秒の演奏。

 その後、山下康介氏の編曲による「宇宙戦艦ヤマト2009 Symphonic Version」へと繋がり、締めくくりとなる。

 本編での発進シーンにTHE ALFEEの歌う「宇宙戦艦ヤマト」が使用されていたことから、『復活篇』の発進シーンの音楽のイメージは”スピード感と軽さ”。スピード感があって重いというのはなかなか無いことなので、どうしても軽さを感じてしまうのだが、プロモーションDVDの段階からヤマトの発進シーンは、感覚的に速さが前面に出ていたので、ロック・アレンジの「宇宙戦艦ヤマト2009」は映像的には合っているのかも知れない。だが、”ヤマトの発進”のイメージとは若干のズレを感じるのは確か。ヤマトの発進は、地球の命運がかかっていることがほとんどなので、ヤマトという大きい艦のイメージと心理的な使命の重さが加わった重みの感じられる楽曲の方が似合っているように思う。

 (7)戦火の渦へ 新コスモタイガー2009 ヤマトの戦い

 前半は、「新たなる旅立ち」より「新コスモタイガー」のテーマを新録音した「新コスモタイガー2009」。後半は、『復活篇』の音楽担当の山下康介氏の作曲による「戦闘のテーマ」。

 「新コスモタイガーのテーマ」は、作品「新たなる旅立ち」でコスモタイガー機と共に誕生した名テーマ。軽快かつ躍動感あるメロディーが宇宙空間を縦横無尽に活躍するコスモタイガーのイメージとぴったりと一致し、作品を代表する曲となった。その名テーマを山下康介氏が編曲。『復活篇』で新たに登場したコスモパルサー機のテーマとして使用。

 アルバムの特徴が、西洋的な雰囲気のする美しく流れるような演奏がほとんどであるためか、お色直しとなった「新コスモタイガーのテーマ」もやはりお行儀の良い華麗な演奏となっている。比較的リズム感を出したアレンジでトランペットも響いているが、ストリングスとハープの掛け合いの部分などは特に上品な音色。この「新コスモタイガー2009」の楽曲のイメージでは、”飛行機野郎”という言葉は似つかわしくない感じがする。演奏タイムは、およそ1分50秒。

 後半の「戦闘のテーマ」は、山下康介氏によるオリジナル曲。当アルバムの中では緊張感と張りのあるテーマとなっていて、戦闘らしさが表れている。前半の「新コスモタイガー2009」との相性も良く、曲全体としてのバランスは良し。「ヤマト」の戦闘のテーマとしては、やや押し出しの弱い印象を受けるものの、オリジナルスコアとのバランスを考えた場合、ちょうど良い距離感かと。

 (8)フライバイ・ワープ/宇宙戦艦ヤマト完結編「脅威のニュートリノビーム」

 作・編曲:羽田健太郎

 オリジナルは、『完結編』での敵、ディンギルの兵器のニュートリノビームの脅威を表現しているテーマ。1983年の音源から映画用にトラックダウンしたもの。

 『復活篇』では、巨大ブラックホールの重力を利用してワープを行うシーンのテーマとして流れ、一歩間違えばブラックホールに引きずり込まれるというスレスレの緊張感を見事に表現している。ゴルイ将軍にして「なんと大胆不敵なワープを」と言わしめた華麗なるワープのテーマとして印象付けた。

 始め、この曲が『復活篇』で使用されると知った際、『完結編』でのニュートリノビームのテーマとしてのイメージが見事にハマっていたため、果たして”音楽負け”しなければいいが…と少しばかりの心配を抱きながら作品を見てみたら、そんな心配は全くの杞憂であったことが分かり、改めて羽田氏の作り出す音楽に感動したしだい。両シーンとも”これでダメかも知れない”というスレスレの緊張感を表しているシーンであり、襲い来る怖さとそれを脱するドラマチックさを見事に表現している。『完結編』に於いても『復活篇』に於いても映像と音楽が結びつき、しっかりとしたインパクトを刻んでいる。

 (9)アマール/チャイコフスキー「スラヴ行進曲」

作曲:チャイコフスキー

 カスケードブラックホールの接近により滅亡の危機に直面した地球人類の移住先、アマールのテーマ。

 アマールは、星間国家連合を構成する国々の一つでありながらも地球人類の受け入れを進め、そのためにSUSの攻撃を受けて大きな被害を被る。国と民を守るために連合に与しているアマールの複雑さと苦悩さが表れている音楽。

 異国情緒を感じる旋律の中に憂いのある悲しさが響き、アマールの置かれている状況にぴったりな楽曲。民族性とそこに住む者の気質といったものまでが伝わってくるような柔らかな演奏が心地よい。

 (10)ゴルイ/ベートーヴェン「エグモント序曲」

作曲:ベートーヴェン

 ヤマトの戦い振りに心を動かされ、遂には与していたSUSに反逆し、武人としての生き様と誇りを全うして潔く散ったエトス星のゴルイ将軍のテーマ。

 ドラマチックさを感じる旋律の中にも芯の強さが感じられる美しい音楽。打楽器がゴルイ将軍の表向きの強さを、バイオリンが内ちなる表情を表現しているように感じられる。ゴルイ将軍の人となりが表れているかのようなテーマ。

 (11)女王イリヤ/ショパン「ノクターン#1」

作曲:ショパン

 アマールの女王イリヤのテーマ。地球の置かれた状況に同情し、地球人の移住を受け入れるも、その為にSUSとの間に大きな摩擦が生じ、SUSの攻撃を受け、国を守るべきか地球人の移住をこのまま受け入れ続けるべきか苦悩を強いられる美しき女王。

 異国情緒が感じられる「アマール」のテーマと比べ、こちらは心の内面が表現されているピアノの調べが美しい曲。物悲しさの中にも癒しが感じられ、女王イリヤの人となりが表れているよう。

 (12)未来への戦い/ベートーヴェン「月光」

作曲:ベートーヴェン

 アマールを発進後に行われた戦闘シーンのテーマ。アマールと女王イリヤの苦悩とに接し、古代進もまた悩んだ末、SUSと戦うことを決意。アマールを発進し、戦闘へと入る。

 ゴルイのテーマである「エグモント序曲」に続くベートーヴェンの曲。アマールで行われた戦闘は、ゴルイがSUSに反逆し艦ごと突撃するなど、ゴルイの戦いの場でもあった。このベートーヴェンの曲は、緊迫した戦闘シーンを高めるテーマとして以上に、アマールの抱えた物悲しさをも表現している。

 力強くも情感豊かなピアノの演奏は、横山幸雄氏。

 (13)SUS大要塞/グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」

作曲:グリーグ

 敵の大要塞のテーマであり、SUSのメインテーマ。SUS大要塞は、直径3kmにも及ぶ巨大な要塞で、5つの砲門を持ち、そこから放たれる威力は凄まじく、ヤマトは苦しめられた。

 SUSのテーマにこの曲を使用することは、西崎義展監督が企画当初から決めていたとのこと。冒頭の「ダダダダダダダン…」という打楽器に早い音に続き、「タン!タタタン!タタタン!タタタン!」という力強いピアノの音色がSUSの強さを象徴しており、イメージを形作っている。

 プロモーションDVDで初めて敵のテーマとしてこの曲を聞いた時には、イメージのあまりのフィット感の良さに、この大要塞のために作られたのではないかとさえ感じたほど。宮川泰氏と「ヤマト」の音楽を作り続けてきた西崎氏の音楽センスを改めて感じた一曲。

 (14)「復活篇」のためのシンフォニー/ヤマト胎動編「我が心の不滅の艦」BGM

 作曲:羽田健太郎

 1994年に一度企画された『復活篇』の当時の模様を収録したビデオ作品「我が心の不滅の艦」にて羽田健太郎氏が作った曲。ビデオに収録されているのを聞く限りでは、完成された楽曲という感じではなく、当時の企画・設定の段階に合わせて『復活篇』のイメージを探っているようなデモ的な感じのする楽曲となっている。メインの楽器は、ギター。これまでの作品で多くの心情面、感情面を表現して来た「ヤマト」音楽らしい楽器の一つであるギターをメインとしている。(ビデオでこの音楽が流れているのは、終盤に近い箇所。キャラクターデザインの紹介部〜縦書きのコメント文書の辺りまで)

 CDでは、『復活篇』の音楽担当であり羽田氏の愛弟子である山下康介氏がアレンジを担当。メインのギターソロは、直居隆雄氏が演奏を担当し、羽田氏へのオマージュとして収録。

 『復活篇』のために作られた唯一の曲として、とても貴重な曲。結果として『復活篇』の音楽は、オリジナルスコアとクラシックとで構成されたが、もし存命でいらっしゃったらこの「シンフォニー」が基盤となって新曲が生み出されたかも知れないな…と思うと、万感の思いが込み上がる。

 アレンジによりオーケストレーションが施された当楽曲であるけれども、ギターの奏でる羽田氏のメロディーは、切なさと重みが感じられ涙腺が緩みそうになるほど。1994年当時の『復活篇』への思いが込められている「礎」とも言える名曲。

 (15)メッツラー

作・編曲:山下康介

 『復活篇』の音楽担当の山下康介氏によるオリジナル曲。作品の終盤に現れる異次元生命体の姿となったSUSのメッツラーのテーマ。

 メッツラーは、SUS国第7艦隊司令長官であり大ウルップ星間国家連合を統率するSUS国の代表。明確な目的やビジョンといったものが窺えない不気味な存在であったが、作品の終盤には異次元生命体となって正体を現した。

 低音のストリングスが奏でるメロディーが得体の知れぬメッツラーの怪しさと怖さを表現しており、曲の中盤でメロディーが高らかに盛り上がると、何もかもをも飲み込んでしまいそうな捉えどころのない強さといったものまでが表現されている。だが、曲の後半には物悲しい旋律が響き、憂いさを伴う響きとなっている。

 (16)この愛を捧げて(Symphonic Version & Short Version)

Symphonic Version 作曲:高見沢俊彦/編曲:山下康介
Short Version 作詞・曲:高見沢俊彦/編曲:THE ALFEE

 『復活篇』の主題歌をインストゥルメンタル・バージョン〜オリジナル・ショート・バージョンへと編集したサントラ用のスペシャルメドレー。

 Symphonic Versionは、オリジナルの楽曲のイメージが『復活篇』の世界観を十分に表現していることと、山下康介氏による編曲についてもこれまでの「ヤマト」の音楽のイメージと合った楽器を使用しているため、しっとりとしたエンディングに相応しいインストゥルメンタルに仕上がっている。

 Short Versionは、THE ALFEEによるオリジナル・ショート・バージョン。高らかに響く高見沢俊彦氏の歌声が、宇宙空間に吸い込まれて行きそうなほどの美しくも切ないバラードを歌い上げている。
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