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《 さらば宇宙戦艦ヤマト 音楽集 》

 アルバムレビュー

 その後の「ヤマト」の音楽集の基となったアルバムであり、そしておそらく「ヤマト」の映画作品の中で1枚の中にきちんとサントラとして成り立っているアルバム。「ヤマト」はこの後、「永遠に」「完結編」とオリジナル映画作品を作ったが、2作とも音楽が数多く作られ、「完結編」にいたっては3枚の音楽集となった。それが良かったかどうかは、受け手それぞれの評価によるが、当時のアルバム1枚およそ46分内という制限の中で、きっちりと映画全体の音楽を収めた「ヤマト」のサントラとしては、このアルバムの完成度は高いと思う。

 「さらば」の映画の中身がその後の「ヤマト」に大きく影響を与えたのと同じように、この映画で生まれた音楽も「ヤマト」を代表する曲が多い。(7)「デスラー襲撃」(8)「デスラー孤独」は、その後の作品でもデスラーのテーマとなっているし、(11)「大いなる愛」は、作品を超えた名曲としてファンから根強い支持を受けている。他に(2)「白色彗星」、(3)「アンドロメダ」、(4)「英雄の丘」は、それぞれ曲にはっきりとした特徴を有しており、忘れられないテーマとなっている。

 個人的にこのアルバムの中で最も気に入っているのは(6)「想人(おもいで)」。映画終盤の多くのキャラが亡くなる悲しい気持ちが胸いっぱいに広がる曲。悲しみを湛えたメロディーと情感溢れるスキャットに心が揺るがされ、切ない気持ちでいっぱいになる。

 (1)序曲

 音楽のダイジェストといった感じ。「さらば」に登場する新たなテーマの数々を聞きやすくバランス良く配置した構成で、この「序曲」を聞くと「さらば」の音楽の全体を掴むことが出来る。

 5分49秒という長い曲ではあるけれども、2時間を超える映画のストーリーをダイジェスト的に物語っている訳ではないので、これを聞くだけで泣けるというほどの感動は味わえない。しかし、この後に続く「さらば」の為の新テーマ群の聞き所がぎゅっと詰まっているので、「序曲」自体の出来は素晴らしいもの。この「序曲」を聞き、続くそれぞれのテーマを深く味わう役割を果たしている。

 (2)白色彗星

 『さらば』の敵方のテーマ曲。パイプオルガンの音色が特徴的で、重ねられた低音のメロディーが白色彗星の怖さを物語っている。

 この曲を初めて聞いた時、敵方の曲と知りつつもなんて美しい音色なんだろうと思った。パイプオルガンは、教会で賛美歌の伴奏などに使われる楽器で、主にホールや広い会場にある据え付けタイプの楽器。当然、当時子供だった自分は見たことがなく、長い間憧れがあった。そして、後に本物のパイプオルガンを見た時、ぜひ「白色彗星」を生で聴きたいと切に思った。真っ直ぐに整然と伸びるパイプが美しく、宗教的な香りのする楽器。この楽器を見る度、「白色彗星」のテーマと共に世の中には様々な楽器があるのだなと思う。

 レコーディング・データ 1978年6月22日 武蔵野音楽大学ベートーベンホール 奏者:志村拓生…と、ブックレットには書いてあるけれど、実際には、当時学生だった宮川泰氏のご子息の晶氏が演奏。

 (3)アンドロメダ

 戦艦アンドロメダのテーマ。アンドロメダとは、ヤマトの代わりに地球の主力戦艦となるべくして建造された戦艦のこと。最新の技術の粋を極めて造られた戦艦だったが、白色彗星の猛威に儚く散った。拡散波動砲を装備。

 軽快なマーチ風の曲で、明るくなる曲。ヤマトとは対照的な立場がよく表現されていて、ヤマトの重みのあるテーマとは違い、明るさが前面に出ている。この曲を聞くと、明るい地球人類の未来といったものが伝わって来て楽しい気分になるが、その反面、散り際が儚くてどこかでもっと活躍させてあげたいという勿体ない気分にもなる。テーマの明るさを活かして、新乗組員の訓練艦として活躍するのはどうだろうか。

 (4)英雄の丘

 沖田十三艦長を始め、地球を救う為に散った戦士の霊が眠る丘のテーマ。トランペットの音色が物悲しく響き、夕焼けに染まる沖田艦長の像が思い出される。

 子供の時に聞いた時は、悲しい気分になる曲だな、とそれくらいにしか感じなかったが、大人になってから聞くと、亡くなった人を悼む気持ちが表れた落ち着きのある安らぎのある曲だなと感じるようになった。これも人生経験を経てこその感じ方だろう。「永遠に」では、地球が暗黒星団帝国に制圧され、真っ赤に焼ける地球が背景となり何とも悲しい気分になった。沖田艦長、地球を助けて下さい──と。

 (5)テレサよ永遠に

 この曲をきちんと聞いたのは「ソング・コレクション」というアルバムが先だったので、どうしても歌詞が思い浮かんで頭の中で歌ってしまうのだけれど、華奢で儚いテレサの雰囲気を印象的に表していると思う。

 テレサは、ヤマトの女神の中では好きなキャラクターで、テレビ版よりも映画版のテレサの方が儚い感じで刹那的。反物質世界の人間ということで、地球人とは触れ合うことも出来ず、この世の人なのか幻なのか掴みかねるところが魅力だと思う。最期にヤマトと共に巨大戦艦に向かって行った勇気あるテレサの刹那さをまとったテーマ。

 (6)想人(おもいで)

 『さらば』では、この曲が一番好き。というか、『ヤマト』の中で別格扱いで最も好きかも知れない。

 映画のラスト近くのヤマトが巨大戦艦に突撃をかける一連のシーンの中で使用され、涙を誘った。この曲の悲しみを帯びた旋律がとても切なく、胸が苦しくなる。サントラというよりもインストゥルメンタル向きの曲ではないだろうか。個人的にインストゥルメンタルだけを集めたMDの中に『ヤマト』からこの曲だけを選曲して録音した。

 (7)デスラー 襲撃

 これはもうお馴染みのデスラー登場のテーマ。このテーマに乗って現れるデスラー艦隊は渋く格好良く、瞬間物質移送機など数数の知恵を絞ったデスラー戦法がこのテーマに乗って繰り広げられた。

 この曲から得るイメージは「2」を境にしてガラリと変わる。「2」でデスラーが古代と対決して地球を友と思うようになってからは、この曲はデスラーの登場をかっこよく演出する為のテーマとなった。それまでは、ヤマトに襲いかかる脅威をまとった底知れぬ執念を抱いたデスラーの怖さを表現するテーマであった。シリーズ中にキャラの立場が変わってもそれに柔軟にキャラのイメージに対応しているこの曲は、シーンに限定されないまさにデスラーの為の曲。かっこいい。

 (8)デスラー 孤独

 「襲撃」がデスラー登場のテーマなら、「孤独」はデスラーの人となりを表すテーマ。ガミラス星の総統で多くのガミラス人を従えているデスラーではあるが、内面には他人では窺い知れない孤独を抱えている。腹心、タランと共に宇宙を彷徨うのが絵になる武人。

 この曲は、子供の頃はなんとも寂しい曲だと感じていたのだが、シリーズが進み、何度も聞いているうちに味わい深い曲だと感じるようになった。ヴァイオリンの静かに始まる出だしから、徐々に盛り上がり終盤にもう一度今度はギターで静かに幕を閉じるところが何とも物悲しい響き。デスラーの人間性を感じることが出来る曲。

 (9)デスラー 好敵手

 高音の真っ直ぐに伸びるトランペットの出だしが特徴的な曲。トランペットとギターとヴァイオリンとピアノがそれぞれ役割を得て切なくメロディーを奏であげていて、演奏を聞いているだけで熱いものが込み上げて来る。特にトランペットの泣きのメロディーは絶賛。

 この曲は、宮川泰氏らしい曲だと思う。感情のこもり方、表現の仕方が微妙な心理をついていて切なくなる。デスラーと古代の間にある男同士の言葉にし難い心情。それは後に友情となるが、この時点では互いに死闘を繰り広げる間柄だった。そのことがよく表現されている曲だと思う。

 (10)都市帝国

 「白色彗星」のテーマのオーケストラ・アレンジバージョン。「都市帝国」のテーマというよりも「都市帝国攻防戦」のテーマという感じで、全体的にピッチが早く、ドラムのリズムが効果的な都市帝国の強さを感じる曲。

 この曲を聞くと、ヤマトと都市帝国の数々の激しい戦いのシーンが思い浮かぶ。都市帝国はヤマトよりも遥かに大きく脅威を誇っており、それに立ち向かって行くヤマトと戦士たちは果敢な勇気を持っていた。特に都市帝国内部に突入して動力炉を爆破するシーンは、涙を抜きにしては見ることが出来ない。

 (11)大いなる愛

 「さらば」のラストを代表する曲。多くの乗組員の命が失われ、その彼らの命とともに敵巨大戦艦に突入したヤマトを象徴している曲。大いなる広がりを持った美しいメロディーに心を打たれる。

 多くの犠牲者を生む「さらば」のストーリーについては色々と考えるところが多い。このようなストーリーは非常に難しい問題で、歳を取れば取るほどあれで良かったのかどうかという結論から遠くなる。しかし、そのような難しい問題のストーリーを全部引っ括めてラストへ導いているのがこの「大いなる愛」だと思う。この曲が流れて来ると、それまで考えていた色々なことが淘汰され、ひたすら映画のラストへと集中するようになる。音楽の大いなる力を感じる曲。ヤマトを代表する一曲。

 (12)ヤマトより愛をこめて

 映画のラストに流れた歌のインストゥルメンタル。作曲は大野克夫氏。

 映画では、巨大戦艦に向けてヤマトが突入した後のラストに沢田研二氏の歌うこの歌が流れ、多くの涙を誘った。この歌を聞くと映画のラストシーンが思い浮かび、胸が熱くなる。歌の持つ力と映画が一体になった素晴らしい曲。

 音楽集に付いているライナーノートには、この曲はボーナストラックと書いてあるが、やはりこの曲が入っていないと「さらば」は完結しない。インストゥルメンタルでは、ヴァイオリンとギターとトランペットがメロディーを切なく奏でている。
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