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《 宇宙戦艦ヤマト Best Collection 》

 アルバムレビュー

宇宙戦艦ヤマトBEST 「ベスト・コレクション」というタイトルではあるけれども、このアルバムは『完結編』のベスト・コレクション。タイトルにつられて聞いてみるとあれ?という感じがすると思う。「ヤマト」の音楽集は全作コロムビアから発売となっているのだが、『完結編』に関しては徳間ジャパンからも発売された。徳間ジャパンからの「ヤマト」の音楽集の発売は初めてのことなので徳間ジャパン的には「ベスト・コレクション」なのだろうけど、ファンとしては”何で?”という疑問符が付く。はっきりと「完結編 ベスト・コレクション」と謳って欲しかった。

 そして中身もちょっとややこしい(と思っているのは私だけかも知れないが)、コロムビアから発売されている音楽集とダブっている曲があり、中身についても”何で?”の疑問符。ファンとしての正直な気持ちを打ち明けると、徳間ジャパンから音楽集が出た意味が実のところよく分からない(本当はこんなことは言ってはいけないのかも知れないが)。はたして2枚出す必要があったのかどうかとか、というか、コロムビアから出ている音楽集はあれで完成形ではなかったのか?とか色々と懐疑的な気持ちが生まれてきて、当時このアルバムの存在は私の気持ちを不安にさせるアルバムとして実のところあまり快くは思ってはいなかった。だから当時はこのアルバムを持っていなかった。しかし、一番の問題は金銭的なことで、当時中学生の私にはコロムビアから発売される音楽集を買うだけが精一杯で、徳間ジャパンのアルバムを買う余裕までは持てなかったというのが本音のところ。

 …と、このように苦言だらけのアルバムだが、大人になってからCDで2枚組となったこのアルバムを中古で買った。結局のところ金銭的な余裕さえあれば当時でも「ヤマト」の音楽ファンである私は欲しかったということになる(そうだよ。ホントは欲しかったんだよ)。でも、後年になってから「ETERNAL EDITION」シリーズが発売になり、「File No.8 完結編」は、徳間ジャパンのアルバムとコロムビアから発売された音楽集を足して2で割ったような構成となっているので、ますます徳間ジャパンリリースのアルバムの存在価値は薄くなってしまった。それでもこのアルバムの嬉しいところはDISC 2(9)「新コスモゼロ」が入っているところ。コスモタイガー・コスモゼロのファンである私は、一曲でも多くテーマを聞くことができて嬉しい。そして、このアルバムの長所をもう一つ挙げるなら曲の解説が思った以上に丁寧なこと。コロムビアから発売されている音楽集とダブっている曲については同じ解説となっているが、それ以外の曲についてもやはり同じように丁寧に一曲ごと解説している。「ヤマト」の音楽集だけに解説は一曲たりとも手を抜いてはいなかったということが分かり、ややこしい存在のアルバムではあったが手に入れてからなんとなく安堵した。

 (1)二つの銀河/Disc 1

 「完結編」は、この曲からスタートする。物語は、銀河系の中心部に突如異次元断層から現れた別の銀河が衝突するという宇宙規模の不測の事態から始まっていて、この曲はその衝突する二つの銀河を音楽で表している。整然とした層の厚い弦楽器が必然的に緊張感を高まらせている。

 荒々しいようでいてその実まとまりのあるところが物語の「起」となるに相応しい名曲。スペクタクルさと人知を超えた宇宙の神秘さが掛け合っていて、ややもすれば作品の描く宇宙よりも遥かに壮大な宇宙を連想する素晴らしい曲だと思う。音楽によって作品の厚みが決まるそんな決定力を持っている鍵となる曲。

 (2)水没するディンギル星

 二つの銀河の交叉により突如現れた水の惑星アクエリアスによって水没を余儀なくされたディンギル星の水没シーンのテーマ。作曲は、羽田健太郎氏。

 地球では考えられない規模の洪水の映像は、ヤマト乗組員たちを驚かせた。この曲は、水没の恐ろしさをドラマチックに描いており、大量の水の圧倒感を音の緊張感によって伝えている。この曲は、ディンギル星の水没シーンの他にも冒頭の銀河系中心部に向かうヤマトのシーンでも流れた。

 (3)ルガール総統の戦争

 「ルガール総統の斗い」と同じテーマをメインの楽器を変えて演奏している曲。作曲は、宮川泰氏。

 「ルガール総統の斗い」は、スパニッシュな雰囲気を前面に出したピアノとガットギターがメインであったが、こちらはブラスとストリングスがメイン。その為か交響楽曲な仕上がりとなっている。好みは人それぞれだが、私はこちらの方が締めがきちっとしていて好み。

 (4)ウルクの猛攻

 「完結編」の戦争のイメージを表現している曲。ディンギルのテーマとアクエリアスのテーマを織り込み掛け合いながら、激しく展開する戦争が描かれている。作曲は、宮川泰氏。

 この曲は、なぜ「音楽集1〜3」に入っていないのだろう…と首を傾げてしまうほどきれいに仕上がっている。曲の出だしから勢いのある「ヤマト」の戦争音楽が奏でられ、一分の隙がないまま曲の終わりまで駆け抜ける。解説書には「この曲も彼(宮川泰)の音楽的特徴がよく表れた曲になっている」と書いてあり、この曲に於ける宮川泰氏の「完結編」の戦争のイメージが伝わってくる。単なる戦争シーンの描写ではない、それぞれの立場の表情までもが見えてくるような曲。

 (5)島を想う

 まさしく島の亡くなるシーンで流れた曲。出だしの第1音から作品の中で流れ、島に縋り付いて泣きじゃくる古代の涙まみれの顔がまざまざと蘇る。重く深い悲しみを湛えている曲。

 島の亡くなるシーンは本当に辛くて、今でもこの曲を聞くと(ああ…完結編で島は亡くなってしまったんだ…)と塞いだ気分になる。当時よりも齢を取ってからの方が島への思い入れは深くなっていて、古代と共にその後の地球で活躍して欲しかったという願いが強くなっているので、よりいっそう曲の軸となっている悲しみの調べが心に堪えるようになった。テレサとの愛も含め、悲しみに満ちた島の生涯を愛しく思う。

 (6)古代君よかった

 「ユキのテーマ」のアレンジ。安らぎと愛に満ちた優しいメロディーをギター、ヴァイオリン、ピアノの順で奏でている。作曲は、宮川泰氏。

 ディンギルのハイパー放射ミサイルの攻撃を受け、宇宙放射線を浴びた古代進が、地球の連邦中央病院で手術を受け、目が覚めた時のユキの心情を表現している。愛する人の意識が戻り、再び瞼が開いた時の心からホっとした心情が優しく奏でられている。

 …という訳でこういうタイトルを付けたようなのだが、とはいえ他にタイトルの付けようはなかったのだろうか…。

 (7)ディンギル少年のテーマ

 少年の健気さと薄幸さをストリングスを中心にして可憐に表現している曲。作・編曲は、羽田健太郎氏。

 ディンギルの少年は、最期に「お父さーーんっ!」と叫んで飛び出すまで、どういう素性なのかよく分からなかったので、銃が放たれた瞬間に「お父さん」と聞いた古代は、えらいびっくりしたと思う。その少年が地球人を庇って命を落としたシーンは、涙抜きには語れない悲しい結末。

 (8)FIGHTコスモタイガーII

 「音楽集1」収録「FIGHT!コスモタイガー」は、どちらかというと「新コスモタイガー」のノリに近い曲なので、この「II」により「完結編」の音楽としてバランスが取れるようになった。作・編曲は、宮川泰氏。

 とはいえ、ドラムとギターはちゃんと活きている。軽快なパーカッションのリズムと滑らかなストリングスとブラスが加わったことで、「完結編」らしい響きとなった。オーケストレーションされた形になるのだが、やはりそれでも格好良さは変わらない。活躍するコスモタイガーの勇姿が目に浮かぶ曲。

 (9)大魔神

 ディンギル帝国の守護神像のテーマ。アクエリアスをワープさせている真のコントロール施設、神殿に鎮座している巨大な魔神像で、黒く堂々と空間を見つめている姿が印象的。暗く妖しい守護神のイメージを重みのある演奏で奏でている。

 地球人の末裔であるディンギル帝国はどのような宗教であったのかは詳しいことは分からないが、神殿の存在とこの大魔神の存在は、歴史の古さを思わせた。強き者が生き残るというディンギルの掟に相応しい畏怖の念を感じる守護神像であった。

 (10)薄幸のディンギル少年

 バイオリンの音色が寂しく響く、ディンギル少年の幸薄さを表現した曲。少年のあどけなさと悲しさを併せて表現していて切なくなる。作曲は、羽田健太郎氏。

 ディンギルの少年は、ヤマトで過ごすうちに地球の文化に触れ、その為に命を落とした。まだあどけない少年が命の恩人である古代進を庇おうとして、銃を向けている父親と古代の間に飛び出したのは、本当に真っ直ぐな勇気のある行動だった。「地球ではほめられることしたんだろう?…ぼく…」の最期の台詞は、胸に痛かった。

 (11)沖田と古代

 水の惑星アクエリアスが地球に最接近し後24時間で地球が水没するという危機に瀕しヤマトを自沈させる決意をした古代が沖田艦長のところへ許可を得に訪れたシーンの曲。総員退艦時に沖田艦長が古代とユキの肩を抱いて「良い子を産むんだぞ…」と語りかけたシーンでも流れた。作曲は、宮川泰氏。

 この曲は、まさに父子(おやこ)の絆の濃さを表す曲で、「1」で出会った沖田艦長(父)と古代進(子)のそれぞれの万感の思いが込められている曲。宮川先生でなくては成し得ない曲だと思う。弦楽器とトランペットの響きが、優しく悲しく二人を包むように奏でられている。

 (12)悲愴のボレロ

 冥王星海戦でディンギルの艦隊が補給の為に引き上げた際、戦場に束の間の休息が訪れた。その間を利用し、負傷兵の救助を行っている時、非情にもディンギルの別働隊が現れ、攻撃を開始した。再び多くの命が奪われたシーンを表現している曲。作曲は、羽田健太郎氏。

 曲自体には、それほど深刻な悲壮感が漂っているようには感じられないが、映像と併せて聞いた時に、ドラマを盛り上げるインパクトさがある。歯切れの良いリズムと華麗なハープの音が生きている。

 「宇宙戦艦ヤマト Best Collection」に収録のものは、静かなリズムのドラムと弦の約19秒のイントロ付き。「ETERNAL EDITION File NO.8」に収録のものは、このイントロ部がカットされた映画使用時に近いもの。

 (13)SYMPHONY OF THE AQUARIUS

 9分45秒という壮大な曲。作曲は羽田健太郎氏。映画では、ヤマトに単身残った沖田艦長がアクエリアスから地球に伸びる水柱を断ち切るシーンで流れ、ヤマトが自爆すると分かっている悲壮感と曲のスペクタクルさが相俟ってシリーズ中最高に重みのあるシーンとなった。

 ピアノコンチェルトという手法が用いられたことで、クラシックに近い曲となっているが、これは「完結編」の音楽の傾向を見ると自然の成り行きで、中でも9分45秒に及ぶこの曲は「完結編」の音楽の集大成と言える曲だと思う。地球とアクエリアスの中間で息絶えるヤマトへの思いの丈を込めたシンフォニー。ヤマトの映像と音楽の醍醐味をたっぷりと味わうことが出来る曲。

 (1)水の星アクエリアス/Disc 2

 ヤマトの前に忽然と姿を現した水の惑星・アクエリアスの美しさを表現したテーマ。「ヤマト」特有の伸びのあるスキャットが綺麗なメロディーを響かせている。作曲は、宮川泰氏。

 アクエリアスに関する曲はどれも美しいメロディーを奏でていて、中でもこの曲はその中心を担うメインとなるテーマ。「ファイナルへ向けての序曲」に収録されている「水の惑星アクエリアスとクイーン・オブ・アクエリアス」で奏でられたテーマに、より鮮明なテーマがプラスとなりメインテーマとなった。この曲のどこまでも澄み切った美しいメロディーは、「完結編」の中でも一際美しさを放っている。

 (2)ウルクの歴史

 ウルクとは、水没したディンギル星から脱出した都市衛星のこと。ディンギル星人は、かつて地球から移住した民族の末裔で、祖先が地球から移民せざるを得なくなったアクエリアスを利用して、地球人を抹殺しようと企むディンギル帝国の都市衛星。中には神殿があり、長い歴史と文明を誇っている。

 重厚感のある曲で、低音の男性コーラスが美しく、ピアノコンチェルトと相俟って重みのある盛り上がりのある曲となっている。低く静かな出だしが、ウルクの底にある凄みを表現していて美しい響き。作曲は、羽田健太郎氏。

 (3)ヤマト悲愴なる出撃

 ディンギルの恐ろしい武器ハイパー放射ミサイルの防御策もないまま出撃を余儀なくなれたヤマトの悲愴なる出撃を表した曲。作曲は宮川泰氏、編曲は羽田健太郎氏。

 プロデューサーの書いている解説には、第二次大戦末期に帰れる望みのないまま出撃した戦艦大和とイメージをだぶらせていると書いてある通り、この曲には重く沈んだ空気が流れている。目前にヤマトでは打ち破ることが出来ないのではないかと感じる巨大な敵が立ちはだかっており、それでも地球の為に出撃せねばならないヤマトと乗組員の思いが重く奏でられている。その中でも始めと終わりの「ヤマト」のテーマに特別な重量感を感じる。

 (4)神殿部の斗い

 ディンギルの都市衛星ウルクには、宗教を信仰する彼らの精神的拠り所となる神殿部があり、アクエリアスのワープを止める為にヤマトがウルクへ強行着陸した際、古代たちはこの神殿部へと攻め込んだ。この曲は、その時の戦いを表現している曲。作曲は、羽田健太郎氏。

 ディンギルに関する曲はみなスパニッシュなメロディとなっているが、この曲もスパニッシュを取り入れたディンギル星人の民族性にまで迫っている。彼らの聖域である神殿部での戦いだけに、ディンギルの中心で戦う様子を音で細かく表現している。

 (5)ユキの悲しみ

 映画前半の、ハイパー放射ミサイルを受けて全乗組員が倒れ、自動操縦で地球へ帰って来たヤマトへユキが駆けつけ、第一艦橋で死んだように倒れている古代を見て自殺を図ろうとしたシーンの後に流れた曲。作曲は、宮川泰氏。

 「ユキの悲しみ」というタイトルなのでシーンの説明が長くなったが、この曲の印象はどちらかというとユキの悲しみのシーンよりもその後のアクエリアスの地球接近後15日というナレーションのBGMという方が強い。ちょうどナレーション部に曲の盛り上がりが被ったからかも知れないが、この曲を聞くと仲代達矢さんのナレーションを一緒に思い出す。

 (6)ウルクの大テーマ

 ディンギル星水没の際、ルガール大総統を始め、選ばれた者たちが都市衛星ウルクに乗り込んで脱出した。神殿部を有し、高度な科学力を誇っており、惑星であるアクエリアスをもワープさせる力を持っている。その強大かつ巨大なウルクの総体的なテーマ。作曲は、宮川泰氏。

 ウルクの全体を描いている曲なので、ウルクの様々な側面を感じ取ることができる。ウルクの表面的なイメージ、ルガール大総統の心情など。テーマのアレンジ、使用楽器、演奏方法を巧みに変えて奏でている。

 (7)アクエリアス45億年

 映画のラスト、ヤマトと古代とユキを迎え入れるクイーン・オブ・アクエリアスの映像と共に流れた曲。作・編曲は、羽田健太郎氏。

 この曲には、長い物語を終えた後の寂寥感と努めを果たし終えた軽い晴れやかさが入り混じった、たゆたうような優しい思いがこもっている。緩やかで長大な楕円軌道を描くアクエリアスにヤマトは全てを抱かれ、永遠の眠りへと就いた。それは、全てを終えた隠し切れない寂しさと軽い開放感であり、解き放すという癒しである。この曲は、「宇宙戦艦ヤマト」のシリーズ全体の終焉の曲。優しいスキャットと男性コーラスのハーモニーが心に染みて美しい。

 (8)移動要塞

 スパニッシュのメロディーがディンギル星人の人となりを表している、ディンギル星人の内面を描いている曲。攻撃的なディンギル星人らしい早いリズムの曲となっている。作・編曲は、宮川泰氏。

 こういった敵方の内面にまで踏み込んだ細かいところにまで曲作りがなされているので、「完結編」は本当に曲数が多い。それだけ音楽と映像の関連性に力を入れていることが分かるのだが、このタイトルでは分かりづらいかも知れない。「移動要塞」というタイトルでは、全体像を表している曲のように思える。さしずめ「ディンギル星人」の方が単刀直入で分かりやすかったかも。

 (9)新コスモゼロ

 初めて作られたコスモゼロのテーマ。コスモゼロは、古代進の愛機で、「1」からずっと古代と共に活躍してきた。「完結編」では、古代と一緒に森雪も乗り込み、敵本隊を発見する大活躍を見せた。作曲は、宮川泰氏。編曲は、羽田健太郎氏。

 「音楽集2」に「二人のコスモゼロ」が収録されているが、そちらは「二人の」と付いているだけあって甘さを含んだムードが漂う曲だった。一方、こちらのテーマは、羽田健太郎氏が編曲を手がけたことによって曲がオーケストレーションされ、他の楽曲とのバランスが計られている。宮川泰氏のメロディがあってこそのテーマ。

 (10)神秘の星アクエリアス

 水の惑星アクエリアスの美しい景色を描写した曲。青く美しい水と綺麗な花、古代文明の遺跡と穏やかに流れる時をゆったりと美しく音で表現していて、心までゆったりとした気分になる。作曲は、宮川泰氏。

 アクエリアスという星は本当に綺麗な星で、映画でヤマトがこの星に降り立った時には、その美しい景色に心が洗われた。本編中で最も美しいシーン。この曲の後は「水の惑星アクエリアスとクイーン・オブ・アクエリアス」の曲へと続き、心行くまで星の美しさを見せてくれる。
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