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《 Cafe De Anime/カフェ・ド・アニメ 》

 アルバムレビュー

 アニメソングをカフェ・サウンドにアレンジしたアルバム。カフェとは、フランスやイタリアなどのヨーロッパの都市でお馴染みのコーヒーなどの飲食ができるお店を指しており、日本にも定着。店内での飲食スペースの他に、街路に面した屋外での飲食スペースを設けているところも多く、また近年はインターネットカフェも登場。オシャレな喫茶店といったイメージの飲食店のこと。

 カフェといえば、その言葉の響きからフランスやイタリアといったヨーロッパのイメージが思い浮かぶが、当アルバムに収められているアニメソングの数々も、まさにヨーロッパ風のムードに包まれた優しくてちょっと脱力系な癒しサウンドへとお色直しされており、ティータイムにぴったりな大人向けのBGMとなっている。

 収録曲を見て分かる通り、アニメソングといえども作品名を連呼しているベタな主題歌ではなく、大人の歌の雰囲気をまとった楽曲ばかりが選曲されてあるので、これらのタイトルからどんな曲なのか分かる人には、アルバムのおおむねのイメージが掴めることと思う。(1)「ルパン三世主題歌U」(7)「ラヴ・スコール」然り、劇場作品「さよなら銀河鉄道999」の主題歌(2)「Sayonara」、「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマ(3)「Fly Me To The Moon」など。また、当アルバムのもう一つの特徴は、「宇宙戦艦ヤマト」の音楽が4曲が収録されていること。「999」の歌と合わせると、半数を超える6曲が松本零士作品からということになる。

 10曲中4曲も収録となっている「宇宙戦艦ヤマト」からは、「ア〜ア〜♪」のスキャットが有名な(4)「無限に広がる大宇宙」と、劇場作品「さらば宇宙戦艦ヤマト」の主題歌である(5)「ヤマトより愛をこめて」、「1」作目に登場したスターシャの住む美しい惑星イスカンダルのテーマ(9)「イスカンダル」、同じく「1」作目のエンディングテーマ(10)「真赤なスカーフ」というラインナップ。どの曲も作品の映像のイメージが思い浮かぶ名曲ばかりなのだが、意外なことに美しく流れるメロディーアレンジとなっていて新鮮な驚きに包まれる。オリジナルの曲のイメージが損なわれることなく、かつゆったりとした軽めのカフェサウンドに仕上がっており、気楽に口ずさみながらスイングできるサウンドへと不自然なく仕上がっている。カフェサウンド版(4)「無限に広がる大宇宙」のスキャットは、ちょっとした新発見。(5)「ヤマトより愛をこめて」は、女性のポツリポツリとしたかわいい歌声がキュート。(9)「イスカンダル」は、カフェサウンド・テイスト満載の優しく色っぽい仕上がり。(10)「真赤なスカーフ」は、オリジナルではささきいさおさんがアニメソングとは思えないような別れのロマンを切々と歌い上げているが、カフェサウンド版では女性の気怠げな歌声が歌詞とマッチしてアルバムを締めくくっている。

 アルバム全体を通してコンセプトのはっきりとしたアレンジでまとまっているため、10曲ものアニメソングが収まっていてもアンバランスさはなし。歌が始まってやっとあの曲かと気づくのがほとんどであるので、純粋に音楽を楽しめるアルバムともなっている。

 (1)ルパン三世主題歌U

 (2)Sayonara

 (3)Fly Me To The Moon

 (4)無限に広がる大宇宙

 アニメソングをカフェの雰囲気に見合ったサウンドにアレンジしたアルバムから「無限に広がる大宇宙」。

 「無限に広がる大宇宙」は、「ヤマト」の世界の宇宙を表現している曲で、主題歌と並ぶ代表曲にして名曲中の名曲。この曲を、さわやか且つしっとりとしたムードの居心地のいいカフェ・サウンドに仕上げている。

 「ア〜ア〜♪」という女性のスキャットもきちんと入っている。一定のリズムに乗ったギターとストリングスの伴奏が実に心地よく、大胆な試みながら原曲の雰囲気をそのまま引き継いでいる巧みなアレンジ。

 演奏タイムが7分17秒という長めなのも良いところ。メロディーがループしながらゆったりと徐々に曲の表情が変わって行き、ふと気づくとフェードアウトしているというさり気なさ。気が利いている。

 (5)ヤマトより愛をこめて

 劇場作品『さらば』の主題歌のカフェ・サウンド・アレンジ版。オリジナルは、沢田研二さんが歌っているが、当カフェ版では女性ヴォーカリストが歌っている。

 この曲は聞いてみると意外性に驚く。映画のラストで人びとの涙を誘ったあの感動的な歌が、こうまでもお色直しされながらオリジナルのメロディーの哀しさを失わずに底辺でたゆたっているかのように聞こえてくるところが感動的。

 イントロを聞いているとまさかこの曲だとは予想もつかないほどオシャレ。歌が始まるとちょっと驚く。囁きヴォイスの可愛らしい女性の歌声が、ふわっと何気なく始まる。ポツリポツリと歌い、ピアノの伴奏が情緒的に響き、ギターのリフが一定のリズムを刻んでいる、まことにもってムードのある曲。

 (6)銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)

 (7)ラヴ・スコール

 (8)コスモスに君と

 (9)イスカンダル

 スターシャの住む惑星イスカンダルのテーマのカフェ・サウンド・アレンジ版。オリジナルのメロディーそのものが、明るく優しいイスカンダルをイメージした美しい旋律であるので、カフェ・サウンドとなってもオリジナルのイメージがそのままなのが嬉しいところ。

 冒頭のおよそ8秒間は不思議なイメージの宇宙の交信音のような音があり、その後に優しいキーボードの音色とパーカッションの軽妙なリズムがあり、そしてイスカンダルのテーマへと。時折、女性ボーカルの「パラッパパラッパ♪」という囁き声を交えながら、キーボードの音をアクセントに展開されていく。

 微妙にざらっとした音の感触と美しいメロディーの掛け合いがユニークなアレンジ。

 (10)真赤なスカーフ

 TVシリーズ「1」のエンディング・テーマのカフェ・サウンド・アレンジ版。オリジナルの詞とメロディーは、歌謡曲の雰囲気を漂わせたアニメソングの枠を越えた情緒豊かな歌を聞かせてくれていたが、カフェ・サウンドへとお色直しされた当アレンジは、少々ユニークな雰囲気となっている。

 女性ヴォーカリストによる歌唱は、一貫してアンニュイなムードの歌声だが、対して伴奏はリズムを前面に押し出した響きとなっている。一定のリズムで刻むドラムの音がメインとなっており、その背後でギターやキーボードの不思議な音が宇宙のイメージのように控えめに鳴っていて、全体としてはどことなくポップスの雰囲気が感じられる。色々な要素がミックスされているユニークなアレンジ。

 ご協力:空蝉 様
▽アルバム▽