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《 歌にみるキャラクター 》

 『ヤマト』の主題歌であるその名も「宇宙戦艦ヤマト」は、当時のアニメソングの定番であり王道である作品名を入れた歌詞となっていて、その歌詞は、現在でも多くの人に歌い継がれるほどのアニメソングの中でも不変の名曲と言っていいほど。それは、「ヤマト」が当初から音楽に力を入れていたことの証しで、ポップス界の巨匠と呼ばれる宮川泰氏が作品の音楽を手がけたことで、歌の面でもアニメソングでありながら歌謡曲の要素をも取入れた、アニメの中だけに留まらない、親しみやすく耳に馴染みやすいメロディーと歌詞により、広く世間に作品のメッセージを伝えた。そして、歌は、作品の要となるキャラクターの心情も詩情豊かに歌い上げ、作品世界をより深いものとした。キャラクターを表現した歌は、作品の中で息づくキャラクターへの思い入れが伝わってくる。

 「テレサよ永遠に」は、『さらば』と『2』の女神となるテレサの歌。作詞:阿久悠、作・編曲:宮川泰、歌:ささきいさお、フィーリングフリー。『さらば』のために作られたが実際には使用されず、『2』のエンディングテーマとして使用された。テレビシリーズの『2』のテレサの方が、島と恋仲になるなどより人間に近い感情を持ち、ストーリー上でも『さらば』よりヤマトと密接に関わっていることから、始めから『2』のために作られたようなフィット感がある。この歌は、歌詞の冒頭から「テレサ〜♪」と歌っていて、かなりインパクトがあって覚えやすい。その冒頭の「テレサ 星の彼方のあなたはいると テレサ 愛の祈りを捧げていると」の詞が、たった2行の中にテレサのイメージを的確に表現していて印象的。

 「好敵手」は、古代進とデスラーの関係を表した歌で、古代から見たデスラーが歌われている。作詞:阿久悠、作・編曲:宮川泰、歌:ささきいさお。出だしと間奏と終盤に入る泣きのあるトランペットが特長で、言葉では表現し切れない男同士の運命の悲哀といったものが伝わってくる。この曲は、「テレサよ永遠に」と同様に『さらば 音楽集』にインストゥルメンタルとして収録され、その上シングルではA面となっていてジャケットも古代とデスラーが描かれているが、『2』のエンディングテーマとなった「テレサよ永遠に」の方が活躍した為か、どことなくB面ぽい雰囲気がある。しかし、戦いの果てに生まれた男のロマンがひしひしと伝わって来るこの歌の重みは、間違いなくA面級。「顔をそむけて生きられぬ それをさだめというけれど」「さだめが少し変っていたら 互いに酒も飲んでたはずだ」「炎の中にサムライを見た デスラー それはお前だった」の詞が印象的。

 「星に想うスターシャ」は、位置づけの難しい歌で、”文化放送「ペパーミントストリート青春大通り」ヤマト・ラジオドラマ使用曲から”と、「ヤマト・ザ・ベスト II」のブックレットに書いてある。『1』のための歌でもなく、ましてや『新たなる旅立ち』のための歌でもなく、どっちつかずなところにそう思える要因があると思えるが、両作品の合間に位置するイメージ・ソングかな…と勝手ながら理解している。男性がスターシャのことを想っている歌詞となっていて、その男性が誰なのかはっきりとしていないところがこの歌のいいところ。古代進か兄の守かはたまたデスラーの心情か…。広い意味では女性でも良いのではないかと思えるほど、懐の広さと尊さと愛に満ちたスターシャのことが歌われている。「もしも許されるものならば この手で抱きしめて連れて来たかった」「今も彼方から声がする ふり向く瞳には何も見えないが」「星の海で 星の海で想う スターシャ スターシャ」の詞が印象的。

 「サーシャわが愛」は、『新たなる旅立ち』のエンディングで流れた、母親のスターシャが娘のサーシャを想っている歌。歌詞:阿久悠、作・編曲:宮川泰、歌:島倉千代子、フィーリングフリー。母が子を想う歌詞には、深い愛情と美しい感動を覚えるのだが、歌っている人が島倉千代子さんという点がこの歌の最大の特徴。母親らしい温もりを持っている歌声という点には同意なのだけれど。「あどけない笑顔でみつめないで 私の心が にぶるから」の詞が、『新たなる〜』のスターシャを表現していて切なくなる。

 「おもかげ星」は、『永遠に』で美しく成長した姿で登場したサーシャの歌。歌詞:山口洋子、作・編曲:宮川泰、歌:堀江美都子。シンプルな歌詞ながら、女性らしい優しさと柔らかみのある表現となっていて、歌っている堀江美都子さんの若さを感じさせる歌声がサーシャの少女らしさを表現している。「ひとつは 愛 ひとつは 夢 ひとつは 泪 ひとつは サーシャ」「ひとつは 恋 ひとつは KISS ひとつは 昨日(むかし) ひとつは 明日(みらい)」の詞が印象的。

 「古代(おれ)とヤマト」は、『完結編』でヤマトの艦長を辞任した古代進のヤマトへの心情を表した歌。作詞:阿久悠、作・編曲:宮川泰、歌:ささきいさお。「古代」と書いて「おれ」と読んでいることが、古代だけではなく、古代の立場を通してファンの心情をも表現している「力」のある歌。こういった表面的ではなく「ヤマト」の精神的な深いところを歌にするのは、相当な熟練が必要で、『1』作目から携わってきた阿久悠氏と宮川泰氏とささきいさお氏の熟練した想いがなくては、この歌の重みは伝わって来ない。特にささきいさお氏の想いの丈が込められた歌唱は感動もの。「おれは一人で今おりる」の歌い方が、その度に異なっていて、歌っているささきいさお氏の「ヤマト」への感情までも感じられるほど。当時『完結編』公開のTVCMで流れていた「さらば ヤマト もうお別れだ」の詞と、「ヤマトは兄か ヤマトは父か それとも ヤマトはわが友か」の詞が、短い言葉の中に情感がこもっていて素晴らしい。
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